初日を迎える前に全公演完売となり、「YASOSHIMA Theater~新しい演劇の世界へようこそ〜」の期待値がどんどんと高まっている。本作品の演出家、荒木太朗(シアターザロケッツ)、八十島弘行(2700)は「どう評価されるかわからないが、とにかく自信がある。」と口を揃える。後編では今作品にかける彼らの思いと作品の魅力に迫る。


僕は感覚で行くんです。でも、お兄やん(荒木)は技術。裏付ける何かがある。(八十島)

・荒木さんは、これまでにも「笑い」を追求する舞台を作られているということですが。

八十島弘行(以下八十島) そりゃそうですよ。
荒木太朗(以下荒木) (笑)

八十島 笑いのパイオニアですよ! 
荒木  いやいやいや(笑)
八十島 僕も少ししか知らないですけど。もういろんな笑いをやってきたと思いますよ!
荒木  ブハハッ(笑)
八十島 だから注意とかされた時も、納得する部分が多いんですよ。

・そんな荒木さんだからこそできる、独特の演出というものについてお聞かせ頂けますか。

荒木  テンポ感をすごく大事にしています。お笑いをやっていた経験が生きていることでもあるのですが、結構早いのが好きですね。ただ早ければいいのではなく、いつか必要になる間を生かすためにも、余計な間を作りたくない方で、すごく早くなってしまう。けれど、自分ではそれが良いと思っています。反対に、ヤソは間を取るタイプ。
八十島 そうです。
荒木  その取り方に意味があるので見ていて勉強になる。僕は「することがないからつまんじゃおう」というタイプだけど、彼はすることを思いつくタイプ。
八十島  割とゆったりと間を取るタイプなのですが、1回通してみると僕のアイディアがミスしている時があって。そういう時は稽古場が地獄みたいな雰囲気になりますね(笑)。ゆっくり面白くないことがずっと流れている(笑)。「ごめんごめんごめん」って思いながら進みます。だからお兄やんが早くするのも「ここはテンポを取った方が気持ち良いな」って、勉強になっています。

・お互いに良い影響を与え合っているんですね。

八十島 僕は感覚で行くんです。でも、お兄やんは技術。裏付ける何かがある。さすがだなって思うことが進んでいくんです。例えば、挨拶をしてから目線を合わせるのか、目線を合わせてから挨拶をするのか…というほんの少しのことでも、劇的に変わってくる。「技術屋だな~」って、それを日々感じています。さすが笑いのパイオニア! 
荒木  アハハハ(笑)
八十島 それはどうだろうなと思っていても、お兄やんが言うことだからと受け入れられることもあります。「あの荒木が言うんだから」と!
荒木  (笑)
八十島 結局、結果的に良くなりますし。

・それぞれに今後のビジョンがあると思うのですが、今後もタッグを組んでやっていきたい、と感じられているのでしょうか。

八十島 僕はこの舞台をプロジェクトだと思っているんです。この舞台を成功させて「八十島と荒木の作るものは面白いよ」というのをシリーズ化していきたいんです。またお話が来て、もし「八十島さんお1人でお願いします」と言われたとしても、俺、お兄やんいなかったら何にもできないから!
荒木  アハハハハ(笑)。ありがたい。
八十島 「ぜひそこはセットで」と。どんなに劇場が広くなろうが、僕が急に売れることがあろうが、そこは変わらないです
荒木  一応、信じようと思います(笑)
八十島 「ヤソ、こういうの好きだろうな、こういうの気に入るだろうな」ということがたくさん出てきているんですよ。これから、僕もお兄やんの好みをもっと知って、もっともっとリラックスしてできるようになっていくと思います。八十島が荒木であり、荒木が八十島である。
荒木  むっちゃ上げるなぁ(笑)。。彼が忙しくなればなるほど、役に立てるかもしれませんね。
八十島 そんな2人になりたいな、というのが理想です!


新ジャンルすぎるんです。他ではやっていないような仕掛けを120種、入れてます。(八十島)

ベタな表現をあえて使うと「ここでしか見られない感」が、ガチです。(荒木)

・今回の舞台は「YASOSHIMA Theatre」というタイトルですね。

八十島 僕の名前を入れさせてもらっています。まだ僕のことを知らない人がほとんどだし、知っていたとしても「右ひじ、左ひじを歌う人」という印象がほとんどだと思うんですね。でも、実は地下界隈では「あいつ、変な話を書くよ」と。「八十島の書くものは独特で他のコメディと違う」というのをしっかり見せたくて、この名前にしました。

・お客さまとして行った時に、どんな新しさを感じられるのでしょうか。

八十島 もし生まれて初めてコーラを飲んだとしたら、炭酸がキツイと思うかもしれないし、この爽快感がいいと思うかもしれない。そういう感じで、見てみないとわかりません。ただ、死ぬほどワクワク感は与えます。「これ大丈夫?こいつこの後どうなるの?」という状況もありつつ、ちゃんとした筋があります。小さい劇場ですが、他ではやっていないような仕掛けを120種、入れてます。

荒木  アハハ(笑)
八十島 既存の、今までの笑いの取り方は、15種です。
荒木 (笑)
八十島 だから、ハマる人は絶対にリピーターになる。ただその反面、金返せっていう人が出てくるかもしれない。いろんなことをしてくるな、と思って欲しいですね。

・恋愛もの、サスペンス、など色々なジャンルがあると思いますが、どれに当てはまるのでしょうか。

八十島 新ジャンルすぎるんです。
荒木  (笑)
八十島 恋愛ものといえば恋愛もの。スリリングだね、と言われてもそうだね、って答えます。感動したね、って言われたら”そう?”って答えます。
荒木  アハハ(笑)
八十島 そこだけはちょっと違う。

・荒木さんの視点ではいかがでしょうか?

荒木  これからお客様が決めてくれるんだろうと思うくらい、新しい表現だと思うのですが、ベタな表現をあえて使うと「ここでしか見られない感」が、ガチです(笑)。YASOSHIMATheatreでないと出せない空気感だと100%自信を持って言えます。結構色々と舞台をやらせてもらっていますが、本当に他にはないです。そこだけは自信を持って言えますね。

思い描いていないスリリングさ、味わいにおいでよ。1回、お金捨ててみてよ。(八十島)

・八十島さんのインスピレーションの源は、どこにあるのでしょうか。

八十島 自分の人生、小さい頃に楽しかったことや、お笑いを目指したことだったり、結婚もしていますし、そういう色々なところからなのかなと思います。でも、なんかスパッと出ちゃうんですよね。だからもう、天才、としか…
荒木  アハハ(笑)。彼は人の良いところを見つける天才なんですよ。今回の舞台には、他の舞台ではもしかしたら出られないんじゃないかと思うくらい(笑)、強烈な個性の持ち主たちがいるんですよ。その子の良いところを見つけているので、そういう意味でもここでしか見られないです。
八十島 その子だけでは芝居として成り立たないけど、しっかりとした俳優さんがいて、ちゃんとした女優さんがいて、お茶目な俳優さんがいて…といった「しっかりグループ」がいるからこそ、個性の持ち主たちが生きる。もう、笑うもんか!という気持ちで来ていただきたい。
荒木   アハハハ(笑)
八十島  私たちと勝負をしましょう!
荒木   (笑)
八十島  ぜひ来てください、楽しんでくださいなんて一切言いません。笑うもんかと思いながら、舞台を睨んでいてください。
荒木   (笑)
八十島  終わった時に睨んだままだったら、土下座して謝ります。

・例えば、どんなキャラクターがいるのでしょうか。

八十島  小さい劇場ですし、セットを動かしたりして場面転換ができない。そこで考えたのが、話と話の転換の間に出てくる”てんかんず”という4人組のダンス&ボーカルユニットです。転換しています、という歌をいろいろなメロディーで歌う4人です。(笑)

・面白いアイディアですね。

八十島  転換シーンで歌うだけの役でお願いしたら、”それだけじゃ…”って、2人辞退されてしまいました。
荒木   アハハハ(笑)
八十島  舞台転換についての大切さを歌う4人です(笑)。話には関係ないけれど、飽きないように繋げていっているんだよ~と、歌っている4人ですね。

・舞台を観に行こうと考えて下さっているお客様にメッセージをお願い致します。

荒木  自信があります。いくら考えても正解は難しいし、ふたを開けてみないとわからない。今回の舞台の魅力とか評価も、ふたを開けてみないとわからないと思います。けれど、何か自信があるんです。やったことがないことだというのが、自分の手応えとしてわかっている。だから”これ見たことないでしょ”と、自信を持って言えますね。

・八十島さんからも、メッセージを頂けますか。

八十島  みんな、この夏なにする?
荒木   (笑)
八十島  遊園地に行く?でもそれは君たちの知っているジェットコースターだし、思い描いているスリリングさだよ。思い描いていないスリリングさ、味わいにおいでよ。1回、お金捨ててみてよ。
荒木  アハハハハ
八十島  面白ければバッチリだし、そうじゃなくても、友達との話のネタにはなるよ。こんな人が出てきたんだよ、って話せる、酒のアテには100%なるよ!
荒木   アハハハ(笑)よろしくお願いします!

企画・構成:小宮山薫 インタビュー& 文 :Murata Yumiko  写真:豊川裕之  

お笑いコンビ2700八十島弘行と人気コメディ劇団シアターザロケッツ荒木太朗がタッグを組んだ演劇プロジェクト。
“演劇”דコント”דリズム”=?。演劇でもないコントでもない、コメディ作品の新境地を目指す。お笑い芸人2700八十島弘行の舞台初演出作!
■日時:2017年7月6日(木)〜7月9日(日)
■脚本:八十島弘行(2700)
■演出:荒木太朗 (劇団シアターザロケッツ) 八十島弘行(2700)
■会場:中板橋新生館スタジオ
■住所:〒173-0016 東京都板橋区中板橋19-6ダイアパレス中板橋B1
■Official Page http://illuminus21.xsrv.jp/wp/archives/6352

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