舞台「ハンドシェイカー」 古畑恵介 吉田武寛 中谷智昭 インタビュー【前編

アニメ「ハンドシェイカー」の舞台版でもあるSPECTACLE STAGE「ハンドシェイカー」が1月24日(水)〜1月28日(日)が渋谷CBGKシブゲキ!!にて開催される。

舞台版ではタヅナとコヨリの成長物語を軸に、原作同様にGoHandsが創り出す3Dアニメーション映像や、世界的な人気を誇るJazzy Hip-HopレーベルGOON TRAXの楽曲を用いて「ハンドシェイカー」の世界の再現に挑む。
本公演にて初主演を務める古畑恵介、本作品の脚本・演出家吉田武寛に加えて、吉田作品の常連にもなるマキハラ役を中谷智明を交え本公演の魅力を語ってもらった。
たっぷり10000文字のロングインタビューを前編、後編にてお届けいたします。

 

■古畑さんは初めての主演ということですが、お話を受けた時の心境を教えていただけますか?

 

古畑 ネットでオーディションをたまたま見かけて、マネージャーさんに「このオーディションを受けたいんですけど」と伝えて、受けさせていただきました。すると、まさかの主演を頂いて…。とても運命を感じたと言うか、精一杯努めたいなと思いました。皆さんの日頃の応援があってこそいただけたポジションだと思うので、皆さんに精一杯ドキドキやワクワクを届けられるような舞台に仕上げられたらと思います。

吉田 大きな役はオファーで出すことが多いのですが、そんな時に応募をくださって実際お会いして本を読んでみていただいた時に、すごくイメージに合っていたんです。

 

■吉田さんは原作原案の舞台を多く手がけられていますが、今回は原作を再現して行くのにあたって、難しいと感じた部分はありましたか?

吉田 テレビシリーズの1番目から12番目までひと通りやっているのですが、30分×12話分を大体2時間にまとめること、そこがまずひとつ。

中谷 6時間分!

吉田 もうひとつは、異次元空間でみんなが戦うんですけど、ニムロデという武器が出てきて。原作だとすごくかっこよく描かれているんですけど、舞台の上でどう表現していくかっていうのがやっぱり難しい。見せ場だと思います。異次元空間を再現するのに演劇チックな表現を使ってやって行こうと思っているので、そこが見どころかなと思います。脚本で言うと、多少構成が変わっています。原作よりも薄くならず、より深みを目指そうというところで書いています。

中谷 僕は納得です。タヅナが受け取っていくもの、それぞれにも人生があって…というのは各パートに凝縮されているなというのを、本読みしながら感じていたので納得。偉そうにすみません(笑)。ただ、やっぱりアニメを見ているので「どうやって走るんだろう」「どうやってビル登るんだろう」「どうやって落ちるんだろう」っていうのはあります。稽古が楽しみですね。この人の頭の中がどうなっているのか…

吉田 これで何もやらなかったら…(笑)

中谷 アハハハ!

吉田 いや、やるんですけど、はい(笑)。

 

■古畑さんは吉田さんの舞台への出演経験は初めてだということですが

 

古畑 はい、初めてです。想像がつかないですね。吉田さんが演出された舞台もまだ拝見したことがないので、すごく楽しみです。

中谷 この人のことを信じていれば、間違いないです!

古畑 じゃあ、大丈夫ですね(笑)!ハンドシェイカーは絆の物語。こういう信頼関係を吉田さんやみなさんと作っていけたらと思いました。

吉田中谷 うまい…!

中谷 100点のコメントを叩き出していくね!

古畑恵介

 

2014年ソニーミュージックアーティスツ主催のアニメオーディション「第3回アニストテレス」にて優秀賞を受賞。
新人男性声優グループ「ツキクラ」のメンバーに選ばれる。
俳優・声優として幅広く活躍をしている。

【代表作】
ゲーム・アニメ「アイドルマスター SideM」(橘 志狼)
ゲーム「一血卍傑-ONLINE-」(オジゾウサマ)
舞台「アイ★チュウ ザ・ステージ~Stairway to Étoile~ 」(桃井恭介) 
舞台「MARKER LIGHT-BLUE」シリーズ(アフェクシオン)
ドラマCDシリーズ「劇団アルタイル」(大崎イズモ)

■キャラクターを演じる上で今回大切にしたいなと思っていることについて教えていただけますか?

中谷 原作のファンの方もたくさんいらっしゃると思うので、かけ離れたものにはしたくないんですよね。ただ、再現の方向だけに行ってしまうとものまねになってしまうので、そこに俳優としてのプラスができればいいなと思います。たくさん、役との共通点を探したり、全然違うところを探したりできたらいいなと思っています。

古畑 僕も中谷さんと同じ意見です。僕は2.5次元の舞台に出続けてきたのですが、2.5次元作品は「原作」という「正解」がある。キャラクターの仕草、表情とか息遣いひとつに関しても、正解が原作にあると思います。原作をたくさん読み込んだり、アニメをたくさん見たりするのはもちろんのこと、舞台版ではアニメでは描かれていない部分や、キャラの顔は写っていないシーンでキャラはどんな顔をしていたんだろうという原作にない部分も出てくるので、今回も原作をしっかり勉強して、役作りをしたいなと思っています。

■キャラクターと自分との共通点はありましたか

古畑 タヅナくんの最初の頃なんですけど、人間関係に一線を引いてしまいがちなところです。友達とかに対しても、一定の距離感がある子なのかなという印象を最初に受けていました。けれど、物語が進むにつれて仲間の影響で、どんどん人間関係がうまくなっていくんです。人見知りがなくなっていく。タヅナくんは一歩踏み出したので、僕も人見知りなところがあるんですけど、今回のカンパニーのみなさんともぜひぜひ仲良くなっていけたらなと思っています。

中谷 …飲みに行こう。

古畑 それが一番早いですね(笑)!僕は人見知りなんですけど、「人見知りなんです」って言う人が、ちょっと苦手なんです(苦笑)。

中谷 どういうことだよっ(笑)!

古畑 「僕は人見知りなんです」って言われてしまうと、「人間関係を作る気がないのかな」って感じてしまうので(笑)、僕は「努力する人見知り」

中谷 また良いコメント(笑)!

古畑 他の作品のライブで、「仲良くなっていた方が、すごく楽しいライブにできるはずだ」と思って、2~3日に1回ぐらい、キャストの人たちを誘って飲みに行ったんです。出費は辛かったんですけど(笑)、たくさん話せるようになったし、ライブ自体もすごく楽しいものができあがったので、今回もたくさん努力して、皆さんと仲良くなりたいなと思っています。

中谷 おおっ!「努力する人見知り」だ!僕は、カンパニーの中では最年長なんですよね。大人なので、経験があるからこその立ち振る舞いだったり…なんか自分で言うと恥ずかしいな。実は僕も人見知りなんです。「僕はしゃべる人見知り」なんです(笑)!

古畑 アハハ(笑)!

中谷 緊張するとしゃべっちゃう。無言がだめなんです。仲良くなったらそのまま突き抜けられるんですけど、「あ、無理」って思うとしゃべらなくなっちゃう。人の圧を感じて。でも、なんとかノックするタイプなんですけど…。こんな感じで、人間の立ち居振る舞いって絶対に理由があると思うので、話の肝になってしまうと思うので、ふんわりした感じで申し訳ないんですけど、こういうところは割と近いのかなって思います。強いて言うなら明るいところかな。ただ明るい感じではないとは思っていて、影があるからこその明るさなのかなって。それが大人なのかな、って思っています。…あれ?なんかチャチャ入れたさそう…。

吉田 えっと「それが大人なのかな…」てなんなんだろうな…って思って。

古畑 アハハハ(笑)!

中谷 カットしてくださ~い(泣)!

 

■吉田さんから見て、いかがですか?

 

吉田 僕も人見知りな部分がやっぱりあるので…

中谷 これ対談として成立するのか(笑)!?

吉田 でも、2人とも本読みの時に、キャラクターのイメージと近いものを感じたので、そういう意味では非常に楽しみだなという風に思っています。

 

■古畑さんは、今回台本を読んでみてどのような印象を受けましたか?

 

古畑 5時間弱の原作をコンパクトにしなければいけないので、どうなるんだろうと思っていましたが、台本を読んだときに原作へのリスペクトをすごく感じました。原作をすごく大事にしつつ、かつ物語の要点は押さえて、スピーディーになっていると思いました。…あ、ちょっとニヤけてる…

吉田 そうそう、と思って(笑)。

古畑 すごく素敵な本をいただけたので、あとは役者が頑張るのみ。というか、頑張りたいなと思いました。主演というポジションをいただいたので、セリフ量がやっぱり膨大なんですよね。

中谷 どこかで水を渡しに行くね(笑)。

古畑 ありがとうございます(笑)。本読みの時にも感じたのですが、気持ちを込めすぎてもダメだし、スピードだけ意識してもダメだし、とてもテンポよく演じることを心がけないと、僕次第で悪くなってしまうこともあり得るので、すごく危機感は持っています。でもセリフをあれだけいただけたことは純粋に誇らしいし、嬉しいので、精一杯お稽古を頑張りたいと思います。

 

吉田武寛


2011年LIPS*Sを立ち上げ、全作品の脚本・演出・プロデュースを担当。
2015年合同公演「Knights」では動員2200人を突破。
2017年からスタートしたILLUMINUSではアートディレクターとして、本公演全ての脚本・演出を担当。
【代表作】

・amazarashi「ジュブナイル」原案舞台『ジュブナイル』(シアター1010)
・HIDETAKE TAKAYAMA氏のMV『Express』を舞台化『Express』(シアター1010)
・25,000部発行写真集の舞台化『NO TRAVEL, NO LIFE』(著:須田誠)
・MONKEY MAJIK『Headlight』とのコラボレーション朗読劇
・お笑いコンビ「チュートリアル」「チーモンチョーチュウ」結成話の朗読劇化
・Mixiゲーム「輪華ネーション」のアクトリーディング舞台「輪華ネーション~はじまりの章~」
・サイバーパンク朗読劇『Rays Of Light』
・Comicoベストチャレンジ連載漫画「憑き人。」原作のリーディングライブ『憑き人。』
・フラッシュアニメ『終わらない鎮魂歌を歌おう』舞台化
等がある。
文芸者主催 第2回「人生いろいろ賞」短編部門にて優秀賞受賞(書籍化)。
ナムコナンジャタウン主催「本当にあった怖い話」短編部門にて優秀賞受賞。

 

中谷智昭

 

【代表作】
「水月鏡花 -竜馬夢双-」(脚本・演出:吉田武寛 )
「ジュブナイル」@シアター1010 (脚本・演出:吉田武寛 )
サイバーパンク朗読劇「Rays Of Light」(脚本:春日康徳 演出:吉田武寛 )
「おおばかもの〜おおばかものだけど、わるいやつらではない〜」(演出:笠原哲平 脚本:ゆうき)
「Knights アーサー王と悲哀の花嫁 -King Arthur and the Bride of the sorrow-』@新宿シアターモリエール(脚本・演出:吉田武寛 )
Music Thetaer「Express 」@シアター1010(脚本・演出:吉田武寛 )
『Knights-ナイツ—』@中野ザ・ポケット(脚本・演出:吉田武寛 )

 

■吉田さんの演出された舞台経験が多い中谷さんですが、今までの作品との違いを感じていることはありますか?

中谷 どうですか?吉田さん。

吉田 これありなんですか(笑)?

中谷 キャッチ・アンド・リリース!…そうですね(笑)、でも、基本的に吉田さんの作品は台本を受け取ったら「こういう感じになるのかな」「こういう雰囲気になるのかな」っていうのが、段々わかってきたんです。ちょっとおこがましいんですけど。けれど、毎回毎回容易にそれを超えていくんですけどね。今回も、そういう意味では見えないですね。たぶん、これから稽古を突きつめていく中で、色々な発見があると思います。また新たな「吉田武寛」の舞台を観てもらえそうで、僕は楽しみです。
古畑 今回は、マッピングとかもすごく多くなりそうですよね。

吉田 映像はすごく多いですね。

古畑 普段、吉田さんの舞台は映像をすごく多く使われたりするんですか?

中谷 そうですね。けれど、この間までやっていた「喫茶ライフ」は一切なかったですね。

吉田 最近映像ばっかりやっているので、たまにはなくそうかなと思って(笑)。

中谷 そういうことだったんですか(笑)。

吉田 映像ばっかりに頼ってちゃいけないなと思って。

中谷 マンパワー。

吉田 でも、映像たくさんあると思います。映像、多いですね。

古畑 それに負けないようにやらないといけないということですね。

中谷 共闘する感じ。

吉田 合わせるのがすごく多くなりそうですもんね。

中谷 映像で与える情報があるじゃないですか。お客様に与える情報。そう考えると、映像は決してサブではない。僕の感覚では、ともすると映像が僕らに近づいてきてくれる時もあるし、僕らが飛び込む感覚もある。楽しいよ。

吉田 映像を僕が使う時は、いつも映像の担当さんと打ち合わせを1回ぐらいしかしないんですけど、今回はすでに4回ぐらいしているので、今回の映像は大変ですね。美術さんとも、もう2回ぐらい打ち合わせをしています。普段よりもスタッフワークが膨大。量が多いですね。これまでの舞台を見てくださっているお客様にも、楽しんでいただけるかなと思います。

 

 

後編へつづく・・・

 

 

 

メインビジュアル撮影:撮影:佐藤雄哉/Confetti 2018年2月号より

取材協力:Confetti インタビュー& 文章 :Murata Yumiko  企画・構成:小宮山薫

 

 

【公演名】 SPECTACLE STAGE「ハンドシェイカー」
【期 間】 2018年1月24日(水)~1月28日(日)
【劇 場】 CBGKシブゲキ‼(〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-29-5ザ・プライム6階)
【出 演】
古畑恵介、大島涼花、佐藤祐吾、廣野凌大、岡田彩花、
松村芽久未、和地つかさ、二平壮悟、あかり(α-Xʼs)、
澤井俊輝、谷茜子、天野翔太、西端ちひろ、千歳ゆう/
中谷智昭、佐藤弘樹、久保田剛史(インデペンデンスデイ)/
栗田学武

【アンサンブル・ダンサー】 (50音順)
藍羽舞 、倉野真帆(KATA☆CHU)、
五月女葵(浮遊する恋、それは。)、
佐藤康道、千葉歩、花澤優季

 

【公演スケジュール】 (全9公演)
1月24日(水)18:30
1月25日(木)14:00/18:30
1月26日(金)14:00/18:30
1月27日(土)14:00/18:30
1月28日(日)12:00/16:30

 

■原作:アニメ「ハンドシェイカー」 

■脚本・演出:吉田武寛(LIPS*S , ILLUMINUS)
■協力: GoHands、Frontier Works、KADOKAWA 

■音楽:GOON TRAX
■制作協力:style office 

■企画・主催:ILLUMINUS (FreeK-Laboraotry)

 

 

 

 

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